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外からの動機づけで個人の行動は変えられるのか?

J. Econ Perspectからもう一本。特に学部生にお勧めのサーベイ論文だ。

世の中には、(物理的には可能なのだが)なかなか変えられない個人の行動が結構ある。
例えば、もっと勉強してほしい、タバコをやめたい、もっと運動してほしいなどだ。
この論文は、外から与えられた動機づけ(外的動機づけ)によって個人の行動が
どれだけ変わるかについて概観している。キモは、外的動機づけと自ら進んで行う動機づけ
(内的動機づけ)の関係を使って、外的動機づけの長所と短所をわかりやすく説明している点だ。

“When and Why Incentives (Don’t) Work to Modify Behavior”
Uri Gneezy, Stephen Meier and Pedro Rey-Biel
2011. Journal of Economic Perspectives, 25(4): 191-210.
おすすめ度:
★★★★☆ [星四つ] ミクロ経済系の学部生にお勧め 
★★☆☆☆ [星二つ] その他の方へ 

この論文は、外的動機づけのなかでも金銭的動機づけに焦点を当てている。
教育、奉仕活動、生活習慣に関する応用事例をレビューしながら、金銭的動機づけが
効果的な場合、効果がない場合、むしろ逆効果な場合などについてまとめている。

農経ネタ(農家行動や普及事業など)でも応用できるフレームワークなので、
農経関係者にもお勧めだ。
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政策デザインに役立つ遺伝子情報の経済分析とは?

遺伝子と個人の社会経済的行動や結果が関連していることは多くの研究で示されている。
ただ、「だからなに?(So what?)」と思う方も少なくないだろう。
例えば、うちの大学の遺伝子学の教授は「社会経済的行動を遺伝子疾患かなにかだと
思っているのか?」と怪訝な顔をしていた。私自身も「作物みたいに品種改良とか
遺伝子操作したいわけ?」と思ったりしていた(農学部出身なので…)。

そんな遺伝子情報の経済分析に懐疑的な方におすすめなのが今回の論文だ。
概論なので、私のような門外漢でも読みやすかった。
キモは、遺伝子情報の経済分析を「遺伝(Heritability)の影響に関する研究」と
「特定遺伝子の測定結果を説明変数として用いる研究」の2タイプに分け、
社会政策に役立つ情報を導き出せるかどうか考察している点だ。

Genes, Eyeglasses, and Social Policy
Charles F. Manski
2011. Journal of Economic Perspectives, 25(4): 83-94.
おすすめ度:
★★★★★ [星五つ]  遺伝子情報の経済分析を政策へ応用したい方へ 
★★★☆☆ [星三つ] その他の方へ 

おおまかな結論は以下のとおりだ。社会政策をデザインする上で、「遺伝の影響に関する研究」
から有益な情報が得られる可能性は低い。しかし、「特定遺伝子の測定結果を説明変数として
用いる研究」からはターゲティングなどに役立つ情報が得られるかもしれない。
ただ、実際に応用するためにはまだ多くの課題が残っている。

ちなみに、私はManskiの書く英語がすごく好きで(もちろん研究も面白いのだが)、
彼の書き物だとつい読んでしまう。今回の論文も著者がManskiでなかったら、
読んでなかったかも…。「英語ライティングのお手本」が必要な院生には、
だいたいManskiを薦めている。
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