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夫婦仲と「へそくり等」の関係

うまい日本語が見つからなかったので「へそくり等」としたが、
要は、へそくりや配偶者の意に反してする無駄使いのことだ。

これまでの世帯モデルでは、夫妻はお互いの行動を完全に監視できると仮定していた。
この論文では、より現実的に、夫妻はお互いの行動を不完全にしか監視できないと仮定する。
その上で、世帯内資源配分における夫婦間の「情報の共有」と「コミュニケーション」
(いわば夫婦仲?)の役割を明らかにしたところが、この論文の肝だ。

“Spousal Control and Intra-Household Decision Making: An Experimental Study
in the Philippines”

Nava Ashraf
2009. American Economic Review, 99(4): 1245-1277.
おすすめ度:
★★★★★ [星五つ]  「世帯内資源配分」の研究者へ
★★★★☆ [星四つ]  開発経済学関係者へ
★☆☆☆☆ [星一つ]  その他の方々へ

まず、妻(家計を預かる人)と夫からなる世帯モデルを使って、実験デザインの根拠を示している。
このモデルでは、夫が「へそくり等」をする確率は、妻に「へそくり等」がバレる確率と、
バレた場合の罰の厳しさに依存する。面白いのは、罰の厳しさが夫婦間のコミュニケーションに
依存する点だ。つまり、妻が夫に「へそくり等」をしてほしくないと明確に意思表示したにも
関わらず夫が「へそくり等」をした場合、妻が夫に明確に意思表示していなかった場合よりも、
罰が厳しくなる。そのため、たとえ夫妻がお互いの行動を完全に監視できる(つまり、「へそくり等」
が100%バレる)ような状況でも、コミュニケーションの有無で夫の行動が異なるというわけだ。

脇道にそれるが、この概念的枠組みの描写に数式は全く使われていない。それなのに、
数式並み、もしくはそれ以上にクリアーな英語に感心した。数式嫌いの学生や教員に、
数式を使わずに経済理論を説明するときの参考になる。

地元の銀行と協力して行ったラボ実験では、夫妻それぞれに200ペソ渡し、そのお金(合計400
ペソ)が夫婦それぞれの銀行口座にどのように配分されるかをみる。被験者は二つの条件:
  (1) 実験の情報を夫婦で共有するかどうか;(2) 意志決定時に夫婦間で議論するかどうか、
に基づき、以下の3つのグループに分けられる:
   Private(共有しないし、議論もしない)、
   Public(共有するが、議論はしない)、
   Negotiation(共有し、議論する)。
そして、これらグループ間で、夫婦の貯蓄行動がどのように異なるかを分析している。

結論として、「情報の共有」に加えて「意志決定時の夫婦間のコミュニケーション」が
「へそくり等」を減少させることを示した。また、貯蓄行動においては、
性別よりも世帯内での力関係(誰が家計を預かるか)の方が重要な役割を果たしており、
安易に男女差に答えを求めないほうがいいよと警告している。

もっともな結論だが、個人的には、その貯蓄もしくは「へそくり等」をどう使うかが、
もっとも男女差が出るところだと思うのだが…。そのあたりは、あまり議論されていない。
そのあたりの男女差に関しては、Cross & Gneezy (2009)が詳しく紹介している。

参考文献
Crosoon, R., Gneezy, U., 2009. “Gender Differences in Preferences.” Journal of Economic Literature, 47, 448-474.
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