三月の間に紹介できなかった論文たちを、せめて簡略なコメントだけでも付けて紹介したい。
ちなみに、あとで(私が)検索しやすいように、各論文を個別のエントリで紹介していく。
まずは、New York City(NYC)にあるスターバックスでカロリー表示の実験を行った論文だ。
スタバでのカロリー表示が、客の注文にどのように影響するかを分析している。
レストランでのカロリー表示を義務化すべきかどうかの議論に一石を投ずる論文だ。
“Calorie Posting in Chain Restaurants” Bryan Bollinger, Phillip Leslie, and Alan Sorensen
2011.
American Economic Journal: Economic Policy 3(February): 91-128.
おすすめ度:
★★★★☆ [星四つ] カロリー表示の効果が気になる方へ
★★★★☆ [星四つ] 農経関係の方へ
★★☆☆☆ [星二つ] その他の方々へ
主な結果は、カロリー表示によって、客の総カロリー摂取量が平均で約6%減った
(247Kcalから232Kcal)。この減少は、主に食品からのカロリー(マフィンなど)への効果
(平均で14%減)によるもので、飲料からのカロリー(コーヒーなど)への効果は小さかった。
この効果は、カロリー表示を始めてから10ヶ月後の調査終了まで、ずっと継続した。
平均して、カロリー表示による店の利益への有意な影響はみられなかった。
一方、100m以内にドンキン・ドーナツがあるスターバックスでは、
カロリー表示により店の売り上げが平均で3%増えた。
結論として、飲食店でのカロリー表示はカロリー摂取量を減らす効果が期待でき、
導入コストも低いので、義務化してもいいのではないか。ただ、この論文は
(1)カロリー表示義務化の根拠である肥満への直接的影響を測っていない、
(2)スターバックスだけでしか調査していない、
などの制限があり、それらを加味して結果を解釈する必要がある。
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