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地元産、有機栽培、フェアトレード… 乱立する食品ラベルは互いに競合しているのか?

遅ればせながら、AJAE v.92 n.3の二本目。

みなさんも普段の生活で、地元産、有機栽培、エコ、フェアトレードなど様々な食品ラベルを
目にしていると思う。そして、「こんなに多様な価値観のラベルが乱立したら、
お互いの価値観が競合して、個々のラベルの効果が減るのでは?」と思った方も
少なくないと思う。 

今回の論文は、そんな疑問に部分的に答えてくれる。
キモは、農作物の「生産行為に関するラベル」(有機栽培など)と「生産地ラベル」
(地元産など)の交互作用を実証した点だ。

“Does Local Labeling Complement or Compete with Other Sustainable Labels? A Conjoint Analysis of Direct and Joint Values for Fresh Produce Claims”
Yuko Onozaka and Dawn Thilmany McFadden
2011. American Journal of Agricultural Economics, 93(3): 693-706.
おすすめ度:
★★★★☆ [星四つ] 食品ラベルの研究者へ 
★★★★☆ [星四つ] 消費者関係の農業経営研究者へ
★☆☆☆☆ [星一つ] その他の方々へ  

選択実験では、リンゴ(Gale Apple)とトマト(Red Round Tomato)に注目している。
これら作物は、昔から米国全土で売られており、輸入量もある程度あるためだ。
実験では、生産行為に関するラベル(有機栽培、フェアトレード、カーボンフットプリント)
と生産地ラベル(地元産、国産、海外産)の影響を調べている。
選択実験の詳細は元論文を参照してほしいが、選択肢の設定や選ばせる順番など、
食品ラベル関係で選択実験をしたい方には非常に参考になると思う。
また、選択実験の根底にある経済理論に関して明らかにしている点も好感が持てる。

2008年にウェブ調査を実施し、米国全土の食品買い物客1,052名から有効な回答を得ている。
実証分析では、同一人物による選択の相関を考慮に入れた、パネル混合選択モデル
(Panel Mixed Logit Model)を使っている。

主な結果は、
 ・生産地の選好は、地元産>>国産>海外産。
 ・リンゴでは、有機栽培×海外産(+)とカーボンフットプリント×海外産(―)で
  有意な交互作用がみられた。つまり、有機栽培することで海外産の負の影響を
  軽減できる。また、カーボンフットプリントが高いと海外産への選好がさらに下がる。
 ・トマトでは、有機栽培×海外産(+)、フェアトレード×地元産(+)、
  フェアトレード×海外産(+)、カーボンフットプリント×地元産(-)、
  フェアトレード×カーボンフットプリント(+)で有意な交互作用がみられた。
  これらは、フェアトレードと生産地ラベルの相補効果、フェアトレードでカーボン
  フットプリントの負の影響を軽減できる、地元産のカーボンフットプリントにより厳しい、
  などを示している。
 ・地元産や国産と有機栽培の間に有意な交互作用はみられなかった。

個人的に最も興味深かったのは、地元産や国産と有機栽培ラベルの関係が足し算的で、
相乗効果がみられなかった点だ。地元産+有機栽培は日本で最もよく目にする組み合わせ
だろう。日本でも相乗効果がないのか気になるところだ。

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No title

これ、商品単体への効果を見ているようですが、
家計は商品の組み合わせを購入するので、
ラベルが購入商品の組み合わせ全体に与える影響についても分析しないと、
ミスリーディングになりかねないと思います。

たとえば、リンゴとトマトを両方買うとして、
りんごでカーボンフットプリントのラベルのを買って温暖化防止に貢献したから、
トマトではカーボンフットプリントもフェアトレードもついてない安いのを買うとか。
これが結構起こるとなると、
商品を一つだけ買う実験でラベルの効果を調べてカーボンフットプリントやフェアトレードのラベルが効果があったとしても、
消費者が購買する財全体に占めるカーボンフットプリントやフェアトレードの割合は対して変化しないので、
効果をかなりOverestimateしてしまうことになりそうです。
まあ、この論文の趣旨からはbeyond the scopeなんでしょうけど。

No title

鋭いですねぇ。その可能性は十分ありますよね。肥満防止関係の論文では目にするロジックですが、食品ラベル関連では見かけないです。確かにBeyond the scopeだとは思いますが、重要な問題ですよね。それに、なにか面白いネタが埋もれていそうな気配が…。ただ、「効果はない」と示す論文は好みではないので、なにか「食品全体に占めるカーボンフットプリントやフェアトレードの割合」を増やせるロジックを実証してみたいですね。
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