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米国の学校給食プログラムによって子供の食生活は改善するのか?

今回は、米国の学校昼食プログラム(National School Lunch Program [NSLP])の
食生活への影響に関する論文を紹介したい。ネタも手法も目新しくないが、
NSLPの影響に関してはまだまだ異論が多く、社会的関心も高い。

この論文のキモは、対照群(Control Group)と処置群(Treatment Group)の
選択方法にある。NSLPの利用頻度(週0-5回)、学校がNSLPに参加しているか、
また学校朝食プログラム(National School Breakfast Program [NSBP])
への参加状況、などを考慮に入れて比較するグループを決めている。

“Does the National School Lunch Program Improve Children’s Dietary Outcomes?”
Benjamin L. Campbell, Rodolfo M. Nayga Jr., John L. Park, and Andres Silva
2011. American Journal of Agricultural Economics, 93(4): 1099-1130.
おすすめ度:
★★★☆☆ [星三つ] 学校給食問題に興味のある方へ 
★☆☆☆☆ [星一つ] その他の方へ  

データは1999年から2006年のNational Health and Nutritiona Examination
Survey[NHANES]を使っている。傾向スコアマッチング法(Propensity Score Matching)
を使い、就学している6-18歳の子供の栄養摂取量と健康的食生活指数
(Healthy Eating Idex [HEI])への影響を推計している。

まずはNSLPに参加している学校に注目して、NSLPに毎日参加しているいるが
NSBPには参加していないグループ(T1 =Five days NSLP/no NSBP)と、
NSLPとNSBPのどちらにも参加していないグループ(T2 =0 days NSLP/no NSBP)
を比べている。加えて、学校がNSLPに参加していないためNSLPとNSBPのどちらにも
参加していないグループ(T3 = no NSLP/no NSBP)をT1とT2と比べている。

主な結果は、
・ 「NSLPに参加していないグループ(T2)」と比べ、「NSLPに参加しているグループ(T1)」
  の方がビタミンやミネラルの摂取量が多いが、脂肪の摂取量も多い。そのため、
  全体の質に有意な差はみられなかった。
・ 一方、昼食の総カロリー摂取量はT2よりT1の方が有意に高かった。 
・ 「NSLPに参加しているグループ(T1)」と「NSLPに参加できないグループ(T3)」の
  昼食の間に有意な違いはみられなかった。
・ 「NSLPに参加していないグループ(T2)」と比べ、「NSLPに参加できないグループ(T3)」の
  昼食の総カロリー摂取量は有意に高く、他の食事では有意な差はみられなかった。
つまり、NSLPの食生活への影響は質よりも量ということだ。そのため、NSLPをより効果的に
するには、質への影響を保ちつつ量への影響を抑える必要がある。
著者らは、より明確なカロリー量の制限などの必要性を強調している。

NSLPで出されている昼食(写真)をご存知の方は、予想通りの結果と感じるかもしれない。
NSLP
野菜、果物、牛乳など、栄養面への配慮も(一応)みられるものの、
このような昼食を健康的だと感じる日本人は少ないだろう。
これは日本人に限った感覚ではない。子供を欧米系の学校に通わせている
近所の中国人家庭は、不健康という理由で学校給食は選ばず、家から弁当を
持たせている。学校給食を「選ばない子」と「選べない子」の差を説明してくれるケースだ。 

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まとめtyaiました【米国の学校給食プログラムによって子供の食生活は改善するのか?】

今回は、米国の学校昼食プログラム(National School Lunch Program [NSLP])の食生活への影響に関する論文を紹介したい。ネタも手法も目新しくないが、NSLPの影響に関して

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