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干ばつは人的資本を向上させるのか? インドのケース

今回は、先日のセミナーでUCLAのManisha Shahが発表してくれた論文だ。
干ばつの子供の能力への影響を分析した論文だ。

途上国における干ばつに関する既存の研究では、所得や健康への影響が主に分析されてきたが、この論文は「児童労働の需要」への影響を考慮に入れている。キモは、干ばつで親の仕事が減ると児童労働の需要が減る → 子供が学校に行く日数が増える → 子供の成績が上がる、という可能性を実証した点だ。  

“Could Droughts Improve Human Capital? Evidence from India”
Manisha Shah and Bryce Millett Steinberg
2013. Working Paper

データは、インドにおけるAnnual Status of Education Report (ASER) 2005-2009のデータを主に使っている。ASERでは農村の5-16歳の子供300万人以上(3,229,037)を調査しており、簡単な計算と読み書きのテスト結果も記録している。このテスト結果が被説明変数だ。干ばつ(月降水量)に関してはデラウェア大学のデータを使っている。他にも、National Family Health Survey-2やthe National Sample Survey Round 62のデータをつかって頑健性チェックをしている。

主な結果は、
 ・干ばつの年は前年と比べ、計算テストの点数が0.1点高く、就学率も2%ポイント高い。 
 ・降雨に恵まれた年は、計算テストは0.05点低く、就学率も下がる。
 ・Teacher Absencesや学校給食などへの干ばつの影響はみられなかった。
他にも色々と頑健性チェックをして、児童労働の需要への代替効果が原因の可能性が大きいと結論付けている。

ストーリーは面白いし、分析も丁寧だ。ただ、実質的影響は小さく、サンプルサイズが大きいゆえの有意な結果にみえてしまう。また、子供が学校に行かない理由が、本当に児童労働のせいなのかは疑問の余地がある。主な理由が学校の質だとしたら、たとえ暇になっても学校には行かないだろう。でも、データがないのでこの可能性は検証できないらしい

ちなみに、中国の農村では繁忙期には学校自体が休みになることが多いので、こういう影響はみられないかもしれない。

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