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輸出することで中国企業の生産性は本当に向上したのか?

「輸出の企業生産性への影響の因果関係」は、既に数多くの研究者によって
分析されつくされた感がある。そんな中、この論文の肝は、
アジア金融危機の通貨為替への影響を利用した自然実験を用いて、
より厳密に因果関係を推計したところにある。

“Exporting and Firm Performance: Chinese Exporters
 and the Asian Financial Crisis”

Albert Park, Dean Yang, Xinzheng Shi, and Yuan Jiang
Forthcoming, Review of Economics and Statistics.
おすすめ度:
★★★★☆ [星四つ]  「因果関係」が気になる方へ
★★☆☆☆ [星二つ]  中国研究関係者へ
★☆☆☆☆ [星一つ]  その他の方々へ

「輸出の企業生産性への影響の因果関係」を正確に推計するのは、思いのほか難しい。
例えば、「輸出が生産性を向上させたのではなく、生産性がもともと高かったので輸出している」
のかもしれない。また、「企業の生産性と輸出量は両方とも、社長の手腕や政治家とのコネなど
に依存しており、輸出自体は生産性向上の原因ではない」かもしれない。これまで多くの論文が、
どうにか上記のような可能性をコントロールして、より正確な因果関係を推計しようと腐心してきた。

この論文では、「アジア金融危機によって、インドネシア・ルピア、フィリピン・ペソ、韓国ウォン
などの為替は突発的に減価したが、中国元はほとんど影響されなかった」状況を自然実験として
利用する。このような為替の変化により、上記のアジア諸国が主な輸出先の中国企業は、
その他の国が主な輸出先の中国企業に比べ、輸出の伸びが急激に減速することになる。そして、
そのような予期せぬ輸出減速にみまわれた企業と、ほとんど影響されなかった企業とを
比べることで、「輸出の企業生産性への影響の因果関係」を推計する。

主な結果として、
  - 中国輸出企業の1995-2000年における(全要素)生産性向上の約13%は、
     10%の輸出量増加によって説明できる。
  - そのような輸出の生産性への影響は、輸出による学習効果(Learning by Exporting)
     による可能性が高い。
ことを実証している。このような結果は、溢出効果(Spillover effect)と合わせて、
輸出促進のために国税を使ういい論拠になるかもしれない。
まぁ、その辺は費用対効果によるが。 

この論文は、Albert Parkがセミナーで発表した論文だ。個人的には面白い論文だと思うのだが、
推計手法よりもストーリー重視の方にはあまりお勧めできない論文だ。

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