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リスク選好と時間選好とフィールド・ラボ実験

今回の論文は、フィールド調査とラボ実験を組み合わせた手法(フィールド・ラボ実験?)を
ベトナムで実施している。

この論文のキモは、期待効用理論(Expected Utility Theory)だけでなく
プロスペクト理論(Prospect Theory)も検証できる新しい実験手法をデザインし、
その新手法をフィールド・ラボ実験に応用した点だ。このフィールド・ラボ実験では、
さらに時間選好も測っている。

“Risk and Time Preferences: Linking Experimental and Household Survey Data
from Vietnam”

Tomomi Tanaka, Colin F. Camerer, Quang Nguyen
2010. American Economic Review, 100(1): 557-571.
おすすめ度:
★★★★★ [星五つ]  開発経済学関係者へ
★★★★☆ [星四つ]  その他ミクロ経済関係の方へ
★☆☆☆☆ [星二つ]  その他の方々へ

これまでのフィールド・ラボ実験では、期待効用理論に基づき、「効用関数の凹性」のみに
注目してリスク選好を推計してきた。しかし最近では、期待効用理論に反する実験結果や
実証結果が色々と報告されている。そのため、この論文では、期待効用理論だけでなく
プロスペクト理論も検証できるように、「効用関数の凹性」に加えて「確率加重関数」と
「損失回避性」も推計できる実験手法をデザインしている。

著者らは、2002年にベトナムで実施されたLiving Standard Measurement Surveyに
参加した世帯の一部(5,340世帯)を、2005年に追跡実験している。
実験には、各世帯から代表者一名が参加している。

主な結果は、
 ・ 期待効用仮説(α=λ=1)は棄却され、有意な逆S字型の確率加重関数(α=0.74)と
    損失回避性(λ=2.63)が観測された。
 ・ 貧しい村の世帯と比べ、豊かな村の世帯はリスク回避性向が低く、より辛抱強い。
    一方、貧しい村の世帯は、よりリスク回避的なわけではなく、損失回避的である。
 ・ 世帯所得が上がるとより辛抱強くなる傾向があるが、世帯所得とリスク選好の間に
    有意な相関はみられなかった。
 ・ 所得レベルやその他の経済的環境に関係なく、現在バイアが観測された。

内生性の問題など微妙な点もあるが、開発や農業経済分野で色々と応用できそうな手法だ。
興味のある方は、より詳しい実験内容と質問表がAERサイトでダウンロードできる。

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