スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

卒業アルバムの驚くべき利用法

以前のエントリーでも書いたが、米国では肥満が重要な健康問題になっている。
そして、米国には何十年にもわたる縦断的(Longitudinal)ミクロデータがあり、
それらデータを肥満研究に役立てたいと考えている研究者は少なくない。しかし、
肥満に関するデータ収集(身長と体重など)が本格的に始まったのは1990年以降で、
既に米国国民の約半数が肥満になった後だった。そのため、それらデータでは
「どのように肥満が増えたか」や「若年期の肥満の長期的影響」などを
検証できないという欠点があった。  

この論文は、そのような欠点への新しい突破口を提案している。
キモは、高校の卒業アルバムから調査参加者の数十年前の顔写真をみつけ、
その顔写真から当時の肥満具合を推測した点だ。

“Predicting Adult Health and Mortality from Adolescent Facial Characteristics
in Yearbook Photographs”

Eric N. Reither, Robert M. Hauser, and Karen C. Swallen
2009. Demography, 46(1): 27-41.
おすすめ度:
★★★☆☆ [星三つ] 肥満研究者へ 
★★☆☆☆ [星二つ] その他の方々へ

この論文では、1975年から続いているWisconsin Longitudinal Study (WLS)のデータを、
なんとか肥満研究に役立てようとしている。そして、1957年に高校を卒業したWLS参加者
3,027 名の顔写真を高校の卒業アルバムから入手し、それら顔写真から当時の「相対的な
肥満度」(Relative Body Mass)を測っている。つまり、顔写真から肥満度の順位付けが
できるツール(RBM)を開発したわけだ。顔写真だけからボディマス指数(Body Mass Index)
のような絶対的な肥満度を計測するのは、さすがに難しいようだ。

論文では、RBMの信頼性を示すために、Cronbachのα係数やWLSで収集した
BMIや身長との相関などを検証している。結論として、いくつか欠点はあるものの、
中年期のBMIや疾病率・死亡率を予想する上で、顔写真から計算したRBMは
青年期のBMIと同等に役立つとしている。

経済学とは全く関係ないが、変り種として面白い。
ここまでやるか…と感心したので、ブログで報告してみた。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
最新記事
プロフィール

sshimo

回り道して日本に戻って来た研究者。もろ農経だと需要がないので、かろうじて農経でがんばっています。

詳細は、「はじめに」を参照してください。

カテゴリ
EJ (1)
JPE (2)
全ての記事の一覧

記事タイトルの一覧を表示する

過去のアーカイブ
かろうじて農経なアンテナ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。