スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

歴史と公共サービスの質の間係@北部インド

今回は、インドの自然実験論文だ。この論文は、英国植民地時代の地租制度の違いが、
現在の公共サービスの質の違いに影響していることを実証している。キモは、既存の研究より
よりミクロなレベル(gram panchayats (GP)レベル [GP = 2-3村])で自然実験を
用いている点だ。

"Service Delivery and Corruption in Public Service: How Does History Matter?"
Priyanka Pandey
2010. American Economic Journal: Applied Economics, 2(July): 190-204
おすすめ度:
★★★★☆ [星四つ] 開発経済関係者へ 
★★★☆☆ [星三つ] 自然実験が気になるへ
★☆☆☆☆ [星一つ] その他の方々へ

北部インドでは、1775年から1859年の間に、英国植民地政府により異なる2種類の地租制度が
導入された。地主ベース(地主が地租の査定+取り立てをし、政府に納入する)と村ベース
(村が土地を共有し、村の連帯責任で政府に納入する)の2種類だ。地租制度の選択は多分に
英国側の政治的事情によるもので、インド側にとっては外生的に決められた。
この論文は、このような歴史的背景を自然実験に利用している。

サンプルは、ウッタル・プラデーシュ(Uttar Pradesh)州の26県(District)に属する130GPで、
植民地時代の地租制度が地主ベースだったGP(地主地租GP)と村ベースだったGP(村地租GP)
に分けられる。このデータから、村地租GPに比べて、地主地租GPにおける現在の公共サー
ビスの質が平均的に悪いことがわかる。この相関は、地主地租GPでは社会的・政治的権力が
エリート層に集中してきためと考えられる。より厳密に因果関係を実証するために、
地租制度ダミー変数(地主地租GP=1)を説明変数に含めた重回帰分析を行っている。
被説明変数は、村ガバナンスの質の測度(村ミーティングの回数など)と公立小学校の質
の測度(教師の勤務状況、小学4年生のテスト結果など)だ。

主な結果は、
 • 地主地租GPでは、村地租GPに比べ、村ガバナンスの質が低い。例えば、過去6ヶ月間の
   村ミーティングの数が17%少ない。
 • 地主地租GPでは、村地租GPに比べ、公立小学校の質が低い。例えば、教師の出勤率
   が18%低い、小学4年生のテストの点数が21%低い、校費の横領が多い、など。
これら結果は、公共サービスへの依存度が低いエリート層が権力を握り続けたためと考えられる。
このような歴史的制度の影響をどうやって打ち破るかは、今後重要な研究課題になってくるだろう。

ネタも実験の設定も面白いと思うのだが、推計値の解釈の仕方がよくわからなかった。
どうやって%変化を計算しているのだろう?対数関数でもなさそうだし、被説明変数の
平均値で割ってるのかなぁ…。それならそれで、それら平均値を載せて欲しい。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
最新記事
プロフィール

sshimo

回り道して日本に戻って来た研究者。もろ農経だと需要がないので、かろうじて農経でがんばっています。

詳細は、「はじめに」を参照してください。

カテゴリ
EJ (1)
JPE (2)
全ての記事の一覧

記事タイトルの一覧を表示する

過去のアーカイブ
かろうじて農経なアンテナ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。