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火薬技術と比較世界史

今回はJournal of Economic HistoryのCo-EditorでもあるPhilip Hoffmanがセミナーで
発表した論文だ。

火薬は中国で6世紀から7世紀ごろに発明されたと言われている。また鉄砲を使った戦略も、
16世紀に織田信長により三段撃ち(Volley Fire)が世界で初めて編み出されるなど、
比較優位はアジアにあった。しかし、18世紀までに火薬技術を駆使して世界を席巻したのは、
中国でも日本でもなく、ヨーロッパ諸国だった。なぜか?

この論文は、シンプルな経済モデルと史実を組み合わせ、「なぜヨーロッパ諸国は、他の地域に
比べ、より熱心に火薬技術の開発に取り組み続けたのか?」という疑問への新たな説明を
導き出そうとしている。

“The Gunpowder Technology and Comparative World History”
Philip T. Hoffman
2010. Working Paper
おすすめ度:
★★★★☆ [星四つ] 経済史関係者へ 
★★★☆☆ [星三つ] 歴史データを使う方へ
★★☆☆☆ [星二つ] その他の方々へ

今回フルペーパーは公開されていないので、以下に要約だけ載せておく。

“By the eighteenth century, Europeans dominated the military technology of gunpowder weapons, which had enormous advantages for fighting war at a distance and conquering other parts of the world. Their dominance, however, was surprising, because the technology had originated in China and had been used with expertise in Asia and the Middle East. I offer a new explanation for why the Europeans pushed this technology further than anyone else, by constructing a simple economic model and then examining the political and military incentives that rulers throughout Eurasia faced. I conclude by speculating about how this peculiar outcome and the course of world history might have changed had the Mongols never conquered China.”

ちなみに、著者のホームページにあるComparative Advantage in Violenceの論文とは
別物らしいが、メインストーリーは似ているので参考になるかもしれない。大きな違いは、今回の
論文には(極めて)シンプルな経済モデルと回帰分析が含まれている点だ。しかし正直なところ、
かなり野心的なネタに対して、分析の枠組みが追いついていない感じがした。また、結論部分の
What if 議論はけっこう??だった。JEHに投稿予定らしい。

P.S., 著者は優秀なストーリーテラーで、英語も分かりやすく、プレゼンもなかなか面白かった。
性格もフレンドリーで接しやすく、経済史系の研究者にとってロールモデルの一人だと思う。

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