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性別役割の起源:‘すき’による耕作の重要性と女性の社会的役割

この論文では、‘すき’(鋤もしくは犂)による耕作が歴史的に重要だった社会では
「男は外、女は内」という考え方がより強く残っている、という仮説を実証しようとしている。
つまり、昔は‘すき’を使うために力の強さが必要で、農耕(外の仕事)における男性の重要度が
(女性に比べて)高かった。そして、その考え方が現在まで受け継がれているという理屈だ。 

仮説自体は以前からあるもので、どこまで厳密に実証できるかが見所になってくる。

“The Origins of Gender Roles: Women and the Plough”
Alberto Alesina, Paola Giuliano, and Nathan Nunn
2010. Working Paper.
おすすめ度:
★★★★☆ [星四つ] 性別役割の起源が気になる方へ 
★★★☆☆ [星三つ] 歴史データを扱う方へ
★★☆☆☆ [星二つ] その他の方々へ

被説明変数は現在の、女性の就業率、政治参加率、農家所有、男女比率、
女性の社会的役割に対する考え、などを使っている。重要な説明変数は
社会における歴史的な‘すき’の使用状況だ(独自のインデックスを使っている)。
この説明変数の操作変数として、地質的に‘すき’を使った農耕に適しているかどうかの
ダミー変数を使っている。

この操作変数法を用いて、‘すき’による耕作が歴史的により重要だった社会では、
性別役割により大きな差があることを示した。つまり、著者らの仮説が支持されたわけだ。

この論文は3月のセミナーでPaolaが発表してくれたものだ。
分析サンプルの構築に3年かかったと言っていた。特に異なるデータソース間での整合性を
チェックするのに時間がかかるらしい。また、日本では農作業での性別役割の差が小さいのに
社会的な性別役割の差が大きいのは、彼女の仮説では説明できないと話していた。

しかし、一流研究者が3年かけて集めたデータでここまでの実証しかできないとなると、
世知辛い分野だよなぁ…。

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